車椅子を利用する家族が住みやすいよう、注文住宅で平屋を建てました。住み始めて、平屋の快適さを強く感じる日々ですが、もう少し要望をきちんと伝えるべきだったと反省する点もあります。建築する家は平屋にするうえ、さらに家のなかや玄関回りなどの段差も一切なくなるプランを検討しました。こちらの要望をしっかりと受け入れ、プランに反映してくれるところが注文住宅の良い点だと思います。 ただ、一点だけ計画時に伝え方が足りなかったと後悔することがあるのです。それは、床材の見切りの部分についてです。床がフローリングからタイルになる部分や、フローリングからクッションフロアになる部分などの、材質が変わる境界線につけられる部材を見切り材と呼びます。この見切り材が、フローリングやタイルなどの面の高さと比べると、若干ですが出っ張ってしまうのです。一般的な感覚で言えば、見切り材のわずかな出っ張りがあるだけなら、恐らく段差のない家だと認識されますし、車椅子で乗り越えられないほどの段差でもありません。 しかし、車椅子に乗ってそこを乗り越えるときの振動は、決してゼロではないのです。そのため、家の完成後に、急きょ見切り材をできる限り薄いものに変えてもらいました。それでも段差がまったくなくなるわけではなく、見た目だけで言えば、むしろ最初についていたものの方が綺麗だったとさえ感じます。すべてを思い通りにするのは難しいですが、家づくりに際して、大切にしたいテーマがあるのだとしたら、あらゆる可能性を考えて、検討できるだけ検討し、きちんと伝えることが大切です。 福祉における段差ゼロと、住宅づくりにおける段差ゼロには若干の認識の違いがあるのかもしれません。自分の思っていることと、注文住宅の担当者の思いには、もしかしたら少しのズレがあるかもしれないと常に考えながら、できるだけ同じものを頭のなかに思い描けるよう、具体的に伝える努力が必要だと感じました。ただ、車椅子で過ごしやすい家にしたいという理想を、注文住宅の平屋で実現できたことは間違いありません。大部分に満足しているからこそ、小さなことが気になってしまうということもあるかもしれません。 注文住宅の様々な構造について |